D51603
昭和16年(1941)2月23日、日立製(製造番号1434)。新製後宇都宮機関区に配属、東北本線などで働く。戦後は岡山に移り山陽本線などに運用、その後姫路一・金沢などを経て渡道、40年代から滝川に配属され道内の幹線で働き蒸機最終期まで残る。同機は昭和50年10月、営業用国鉄蒸気機関車としては最後となる苗穂工場(=国鉄工場)最終出場車となる栄誉を担った。そして追分区に移り営業最終日の50年12月24日も営業運用に就いた。廃車は何故か51ー3ー10滝川区となっているが現車は廃車後も保存予定(東京の国立科学博物館前ー代機としてD51231号が保存)のため追分の庫にいた。しかしそれが災いし、保管中の昭和51年4月13日追分機関区が火災に逢い、同じく保存が内定していた最後の仲間たちとともに被災、惜しくも保存は取り消されてしまった。わずかに残った同機の部品のうちこの動輪が「北海道鉄道発祥の地」である三笠・幌内地区に保存されたのはせめてもの救いであったろう。
なお603号の前頭部と一部の動輪は京都府の嵯峨野観光鉄道「19世紀ホール」に大切に保存展示されている。