保存D51853

D51853 東京都北区 飛鳥山公園に保存

JR王子駅近くの飛鳥山公園内に保存されている。園内の一角で屋根付き。最近再整備されてきれいになった。都電6000型も近くに展示されている。


正面 鉄柵での子供の侵入防止が施されている 物々しい感じも
  
説明板もきれいになっている (右)D51853の刻印もはっきりわかる

機関士側キャブ プレートが光る 銘版類はペンキ書きだ
助士側 換算表記だけあり、ペンキ書き

展示スタイルは屋根付きで環境は良いが、柱が目立って撮影にはやや不向きなのが残念。大きな公園内なので運転室に入れたり機関車によじ登ったり(危険表示はもちろんあるが)でき子供たちのよい遊び相手となっている。そのため破損や疲弊も若干早いので定期的な整備が欠かせないだろう。


D51853

昭和18年(1943)8月31日、鉄道省鷹取工場製造(製造番号51)。新製後は吹田区に配属、東海道本線で働く。その後梅小路区を経て姫路一区に移動、山陽本線筋で働く。昭和23年に長岡一区に移動し、信越・羽越路が職場となる。44年には酒田区に移動し47年秋の羽越本線無煙化を待たずに同年6月に廃車となった。


主な配置履歴
昭和22姫路一 23姫路一 30長岡一 32長岡一 36長岡一 43酒田 45酒田 46酒田 47酒田 47−6−14酒田区廃車


D51853にまつわるエピソード

同機の兄弟機では一番近い保存機は849号であるが、ふたつ下の弟機・855の動輪が北海道のJR苗穂駅前と岡山県の里庄町歴史民俗資料館に保存されている。また同機の安全弁には戦時中に天皇陛下(昭和天皇)から下賜された青銅を活用したものが使われている。この御下賜品を使用したD51で他に現存するのは篠ノ井に保存されているD51921号のみである。


D51853とD51513の不思議な接点

同機が保存されている北区のお隣の板橋区蓮根の交通公園に保存されているD51513も同時期に853と一緒に羽越線などで働いた仲間ですが、「刻印をめぐる不思議な接点」があります。
吉野富雄様主宰の「五条川鉄道写真館」に掲載されている853号の画像の中にクロスヘッド部分の刻印があります。説明には『公式側クロスヘッドには、D51938を消した上にD51853を打ち直すという丁寧な作業の痕が見て取れました。TZは国鉄土崎工場を表したものでしょうが、日付の36 6 20は、部品の製作年月日を示しているのか、はたまた刻印を打ち直した年月日なのか、興味が尽きません。なお、D51938号機は1968(昭和43)年2月に青森区で廃車になっています』とありますが、これと同じような作業の跡が513号機にもみられるのです。

こちらの513号の公式側クロスヘッド部分にも「513」の刻印の下に「D51554」の文字を消してあり、さらに「36 9 28 T Z」と打たれています。853と同じようなこの作業の跡はなぜ行われたのでしょうか?938にしても554にしても「36年」にはまだ現役ですし、当然513も853も現役です。
考えられることは「昭和36年頃に全般検査などで土崎工場に入場したカマにこの部品を取替用として製造し、取り付けられたカマが廃車になったあとでまだ使用年限の短い同部品をそれぞれ513や853に取り付け、その際機号のみを取り消した」というとこだと思われます。853のは「×」点で513のは「横線」という違いはありますが「T Z(土崎工場)と「36年」という年月によって当時このような処置が同所でかなり行われたことが想像されます。廃車後数十年たってこういった作業の謎?がわかるのもまた保存機探訪の楽しみのひとつといえるでしょう。


付け加えると853号も513号も同じ「昭和47年6月14日」が廃車日となっているのも不思議な縁を感じます。



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