惜別 交通博物館 その3


展示いろいろ

お馴染みのものばかりだが、いくつかを紹介しておきたい。

昭和56年(1981)には開館60周年の記念入場券が発売された。こちらは秋葉原駅が管轄だった東京北鉄道管理局発行のもの(ケース表紙)。
3枚セットで1号・善光号・弁慶号が主な図柄
国電も101・103系の写真だった

  
館内にはドイツ国鉄の01型式や日本のD50・C59.C56などの動輪も展示されている。167系修学旅行電車の実物模型は昔から変わらぬ場所にある「人気者」である。
同じく昭和56年(1981)に発行された開館60周年の記念入場券。こちらはお茶の水駅が管轄だった東京西鉄道管理局発行のもの(ケース表紙)。
  

鉄橋やトンネルなどの施設模型の中を行く模型車輌はボタンを押して動かすという、昔誰でもが楽しんだ展示だが、交博にはいついってもそれがたくさんあった。年月がたち次第にシミュレータなどより現実に近いものが幅をきかせてきたが、この館内にはまだ往時のままの「ボタン実演」の展示物がたくさんあることが嬉しい。また作りこんだ鉄道車輌模型もいまでは精密とは言い難いが実に多種多様で味わいがあり、どちらも「古い」などとはいわずにこの歴史を刻んだ展示物も彼の地で大切に扱ってほしいものだ。


3枚セットで鉄道・車・船舶という図柄だった
国鉄バス創業時のバスと円太郎バス
裏面などには簡単な説明が入っていた

 

館内に展示されている蒸気機関車のナンバープレートの中にはかつて自分が出会った懐かしいカマのものもいくつか含まれていた。こうしたプレートを見つけて「あの頃」の想い出に浸る事が出来たのもこの交通博物館の魅力であった。画像は昭和45年に七尾機関区で会ったC56153[七]。写真正面の形式入りプレートも1号機関車の後ろに同僚の154号機のプレートとともに展示されている。


さよなら企画展

移転に伴う閉館が来春に決まり、05年6月14日より「さよなら交通博物館」をテーマとした企画展がスタートした。映画ホールでの『交博シネマ倶楽部』と題した映画の上映を始めさまざまな催しが予定されている。一般展示室の方ではスペースの関係で「お蔵入り」となってしまった車輌の模型の展示、鉄道絵画の展示などが行われている。今後も楽しみな企画が続いてゆくことだろう。

※企画展開催中は逆に通常見る事のできた「鉄道のあゆみ」や中央線関連の資料が撤去されている。

乗り物模型蔵出し大公開


 
お蔵入りしていたキハ30900番台やDD50などの大型模型も公開中

この流線形C5520号機の模型は10分の1サイズで1936(昭和11)年、当時の鉄道省大宮工場技能養成所が製作したもの。鉄道博物館がこの万世橋に移転してきた時、大宮工場の「参考品陳列所」(戦災で焼失)から移管されたものということである。精密で可動式であり、当初は1階ホールで往復運転もしていたそうだ。この模型は今回の大宮移転でいわば「里帰り」することになる。

昔の展示状況がわかる絵図(昭和33年頃)。1階に自動車などもあり、今は見られない客車や模型などの展示物も描かれている。

図中下に見える客車は7号御料車で、1952(昭27)〜1963(昭38)頃まで展示されてあった。それ以前は9号御料車(食堂車)があったというが、どちらものちに鉄道記念物となり保存場所をいくつか移動して現在は大井工場御料車庫に保管されている。7号は「新・鉄道博物館」に移管の予定もある。


修学旅行電車運転席公開

交通博物館最後の「鉄道の日(鉄道記念日)」を迎えた2005年10月には館内に展示されている修学旅行電車(167系)クハ167ー1の前頭部実物大モックアップの運転席の一般公開が行われた。また期間中は往年の運転を偲ばせる横サボやヘッドマーク(通常は「なかよし」)の取替えなども併せて実施された。

鉄道の日14日は「わこうど」のヘッドマークを掲示
 
公開案内のパンフレットと往年の修学旅行カラーも鮮やかな前頭部
車内の時計とスピードメーターも懐かしい
 
「なかよし」のマークは裏に保管 飲料水タンクも貴重な資料

訪問した鉄道の日は平日のため残念ながら運転室の公開はなかったが、当日の入館券には最後になるであろう「交通博物館 2005.10.14 鉄道の日 入鋏済」のスタンプが捺されていた。


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