駅に戻り着くと先程撮影した788レが停車していた。加太で50分も停まっているため二度撮影できるありがたい列車だが、残念ながら峠を下ってきたため走行中の煙は期待できない。したがって駅の発車が狙い目となるわけである。その前に下り貨263レ(1422発)が来たのでこちらのD51703[竜]の発車も撮ることができた。(788レ D51646[亀]+後D51882[奈])
『日も西に傾く頃、やっと撮影も終わり3人も別れる事になった。K君はここから天王寺へ出て友人の家へ、M君は僕と行き先が同じなのでもうしばらく行動をともにすることにした。そして僕とM君は15:52発の724レ亀山行で亀山へ、K君はやはり15:52発の湊町行の「柳生5号」で天王寺へ向かった。』
加太越えのD51の基地である亀山機関区は、名古屋に近いながら天王寺鉄道管理局の管轄であり、そのためカマのスタイルや全体の雰囲気もどことなく“関西風”のにおいがする機関区であった。40年代前半までは関西本線の名古屋口(稲沢・名古屋ー亀山)でも蒸機が活躍しており、名古屋区のC57や稲沢区のD51なども見られる一大拠点であったが、44年に無煙化され、少しさびしいものになっていた。それでも 訪問当時(配置記録は46ー3ー31現在)D51・・11両(関西・紀勢本線用)、C58・・3両(同)、C57・・7両(紀勢・参宮線用)、C50・・2両(入換用)と23両もの配置を誇っており、さらに奈良運転所や竜華区のカマなども出入りするため、まだまだ煙の濃い機関区であった。夕暮れの操車場を含む広い構内のあちこちにSLが煙りをあげている光景は素晴らしいものだった。
亀山区SL配置表(46ー3ー31現在)
D51 145、497、613、623、646、689、693、718、750、759、841
C58 51、267、353
C57 26、110、121、145、146、148、198
C50 109、154
機関区や駅ホームでの撮影もすみ、夕暮れも近くなった頃ようやく一日のスケジュールも終りを迎えた。まだシャッターをきることもでき周囲の煙も気になるが、このあと宿泊先の石川県まで行くには時間いっぱいとなってしまった。名残惜しいが17時54分発の急行「かすが3号」で亀山をあとにした。
この日は急行「かすが」で名古屋へ出て所用を済ませ、同行していたM君はここで別れ彼は新幹線で東京へと帰っていった。私は東海道本線の普通電車(たぶん80系だったような気がする)で米原、そして北陸本線に乗り換えて「くずりゅう」で親戚宅最寄りの粟津へ向かった。亀山から約5時間半の道のりであったが関西本線の成果に満足して深夜の駅で出迎えをうけたのであった。
『・・列車は敦賀・武生・鯖江・福井・金津・大聖寺と停車してゆき、次の駅は「加賀温泉」というのだが、この駅はつい最近できたばかりで本当に田んぼの中にポツンとある駅なのになぜかこの北陸本線を走る特急・急行のほとんどが停車している。これはこの駅が付近にある温泉郷(山中温泉・片山津温泉・山代温泉・粟津温泉)などに近いためそこへ向かう観光客のために停車させているのである。駅の前にはバスターミナルがあってそれぞれの温泉に客を運んでいる。おかげで次の駅「粟津」はそのあおりをくい、この前までとまっていた急行のほとんどが加賀温泉に停車して粟津は通過もなってしまった。昨年僕が乗った「立山4号」も今は通過してしまう・・・。』
※趣味誌などの記事を参考にしてこんなことも綴っていた。