街道宿場菓子 中山道 その2

新町から坂本宿までの上州七ケ宿のお菓子です

街道歩きや宿場めぐりをしていると、その土地の名産や名物にちなんだものをよく見かけます。その中で私が気づいたのが、かつての宿場内にある和菓子屋さんなどで販売されている「宿場にちなんだ」色々なお菓子です。それは必ずしもその土地や宿場の名物や物産とは限りませんが、このページ(中山道編)ではあえて商品名、パッケージ、包装などに「街道」「中山道」「〇〇宿」などの名前が入った銘菓を集めてみました。


ここに紹介したものはかならずしもその土地や宿場時代からの名物を原料にしたり、名産を使ったりしているものではなくても原則としてその宿場の名前を商品名にしたもの(銘菓「〇〇宿」など)、包装紙などのどこかに街道名や宿場名が表記されているものが中心です。(現在は販売されていないもの、またお店がなくなってしまったものも含まれています。)

「 」の名称はパッケージ・包装に書かれているもの 商品名

11 新町宿 

 

新町宿の通り沿いにある「酢屋」さんが販売している「中仙道もなか 」です。包装もさることながらもなか自体には「新町 中仙道 酢屋」と書かれていて宿場を強調した好ましい商品になっています。またお店の包装紙には販売している商品名が印刷されていますが、もちろん「新町銘菓 中仙道最中」もありました。

 
宿場の中央、明治天皇行在所跡の向かいにある「酢屋」さん 右は包装紙

12 倉賀野宿  

倉賀野宿には街道関連の和菓子を販売しているお店が数軒あります。「倉賀野宿」の文字のあるものはありませんが、星志野さんでは旅をイメージさせる「わらじパイ」とともに街並み散歩ににあった名前の「倉賀野小道」と言うお菓子があります。その包装紙には『倉賀野は歴史多い街並みで…』の文字があり、中山道の旅を彩ってくれています。また丁字屋房右衛門さんにはかつての倉賀野河岸を思わせる名前の「河岸最中」があり、包には街道の旅人のイラストが入っています。なお最近の商品の中には包装に「倉賀野宿」の文字が入ったものも販売されています。

 
「星志野』さんの「銘菓 倉賀野こみち」 宿場の高崎寄りにある「星志野』さん
 
「丁字堂房右衛門』さんの「河岸最中」 店舗は新町寄りにあります
丁子堂さんのしおりと解説書付きの「河岸最中」。中山道に想いを馳せた伝承の味』というコピーが嬉しい

「街道パイ饅頭 道逢わせ」3種とパイ饅頭「道逢わせ」

『河岸最中』が有名な丁子堂さんには「街道パイ饅頭 道逢わせ」という商品もある。宿場の東方にある中山道と日光例幣使街道が分かれる追分に因んだ名称で、「道を合わせる」と「幸せ」に通じるものがありそうだ。小倉あん(高崎・倉賀野宿)・芋あん(日本橋ー倉賀野宿)・レーズン(倉賀野宿ー日光)などの種類があり、いずれの包装にも倉賀野宿についての説明書きが記されている。

「道逢わせ 倉賀野宿」さっぱりした味のパイ

包装に記された文章
「江戸・日本橋ー京・三条大橋を結ぶ中山道。現在の高崎市に位置する倉賀野宿には「日光例幣使街道」との分岐点が設けられ、街道の往来はそれは賑やかだったそうです。」そのほかに「パイ饅頭 道逢わせ」(くるみ入り)もあり、こちらは文章は入っていないが、追分の常夜燈と道標のイラストが描かれている。

丁子屋さんの店舗 2023年

13 高崎宿  

「宿場まんじゅう わらじ」。このまんじゅうを販売していたお店の本店は安中市ですが、当時開店していた高崎市内の支店でも求めた物なのでこちらに掲載しました。(高崎店はその後閉店したらしい)特に中山道を思わせる物ではありませんが箱入りには街道の絵が描かれており、「中山道名物」の文字も見えます。

店頭の看板に描かれた宿場のイラストの中には「高崎宿」の文字も入っていた

14 板鼻宿  

板鼻宿にはかつては何軒も和菓子屋さんがあったようですが、今ではこの杉本屋さんだけになってしまっているようです。ここには「銘菓 中仙道板鼻宿」というお菓子があります。現在は製造を一時中止していることなのですが、他にも板鼻や宿場名を記したお菓子を販売しています。「板鼻自慢 本陣太鼓」もその一つです。他にも「宿場ポテト」などもありました。

杉本屋さんの「板鼻自慢 本陣太鼓」
板鼻宿の真ん中あたりにある杉本屋さん

15 安中宿  

安中宿内に「安中宿」と記した和菓子は今のところ見当たりません。同じ市内の磯部の「磯部煎餅」が有名だからでしょうか。ただ安中宿と記した地酒などを販売しているお店は見かけました。

安中宿内にある「地酒 安中宿」ののぼりを出していた酒店

16 松井田宿  

松井田宿「たわらや」の和菓子

JR信越線松井田駅から徒歩で10分ほどの住宅街の一画にある和菓子屋さん「たわらや」には中山道松井田宿や碓氷峠にちなんだ名称の和菓子がいくつかあります。ここにあげたのは「追憶(おもいで)のうすい路」と「茶釜石」で、他に「峠のしずく」、「中山道松井田宿 道標」(冬限定でしたが現在は販売終了)、「碓氷峠のわらび餅」(春限定)、生チョコ羊羹「峠道」と多彩です。また松井田宿場通りの「アメリカンベーカリー」には碓氷関所に因んだ「関所煎餅」などがあります。

 
「茶釜石」の包み紙にはこの石を詠んだ蜀山人の狂歌が印刷されています。
三つの味が楽しめるゼリーの「峠のしずく」
 
生チョコ羊羹の「峠道」と売り切れ人気の「碓氷峠のわらび餅」のお品書き

松井田宿「アメリカンベーカリー」店舗 関所煎餅の表示が

17 坂本宿 

坂本宿には銘菓を売る和菓子屋さんはありません。もちろんかつては「碓氷峠の力餅」が有名で、今も「おぎのや」などで売られています。一方、駅弁の「峠の釜飯」で有名な横川の「おぎのや」さんでは探してみれば過去から中山道や宿場(松井田・坂本・軽井沢など)を商品名に使用した駅弁をいくつか発売していました。ただ「峠」(つまり碓氷峠)を冠したものがほとんどで、特に坂本宿や街道、中山道などを意識した駅弁はあまり見当たりません。ただ最近ではこの上州と信州の名産品を食材に詰め込んだ『中山道 味の旅』と言うものが販売されています。

どら弁「中山道 味の旅」

これは駅弁ではなく、通称「どら弁」と言われるもので、上信越道横川SA(上り)のみで販売されている「道の駅」の弁当で、「道楽=どら=ドライバー」に通じるものとして愛称となっているようです。したがって横川駅や横川のドライブイン(一般道)では入手は困難です。

「中山道 味の旅」は上信越道上り横川SAのみでの販売

おぎのや駅弁「峠の山菜めし」

有名なおぎのやさんの「峠の釜飯」は数多くの種類や掛け紙がありますが、なかなか坂本宿をイメージしたものはありません。他の駅弁でもやはり「峠」=碓氷峠をイメージしたものはありますので、ここでは「峠の茶屋」を描いた駅弁をあげておきます。描かれている峠の茶屋の前をゆく道はもちろん中山道でしょう

軽井沢名物「碓氷峠のちから餅」 あづまや製

「碓氷峠の力餅」は名物で、おぎのやさんをはじめいくつかの業者で今でも販売されていますが、この「あづまや」さんの掛け紙には「中山道碓氷峠」の文字が入っていましたので掲載しました。お店の所在地(この当時)が群馬県碓氷郡松井田町峠になっていますがなぜか「軽井沢名物」の文字があるのは軽井沢の知名度を考えたものでしょうか。なおあづまやさんは現在も峠の頂上や長野県側の旧軽井沢の店舗で販売しています。

現在の「峠のそば」 荻野屋さんが製造販売

おぎのやさんの「峠のそば」は碓氷峠の名物というわけではないが、峠の茶屋で旅人が一杯のそばを食べて道中を進んでいったようなイメージを連想させる逸品。もちろん駅そばとして古い歴史を持つ横川のお店ならではの味は絶品だ。主な販売はSAなどでだが、軽井沢駅でも販売


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