保存動輪 D511086(第2) その4

 
D511086動輪 神奈川県 相模鉄道・西横浜駅構内に保存 なるさわ様御提供

意外なところに展示されていたD51の第2動輪。所有は相模鉄道労働組合とのことで、蒸気機関車終焉の頃に国鉄労働組合などから寄贈されたとのことである。動輪前に設置されている石碑は“連帯”と題し、種車の履歴などを刻んである。

碑文より

『この動輪は D511086 第2動輪として昭和19年5月製作 東海道本線・常磐線で活躍 昭和42年北海道に渡り 昭和50年9月まで原野を走り続け 走行距離191・2万キロメートルを記録しました 動輪の迫力は栄光のSLの姿を彷佛させ 人々の郷愁をそそります 相模鉄道労働組合会館竣工を記念し 国鉄労働組合東京地方本部 横浜支部 大井工場支部 大船工場支部の好意により寄贈されました』(原文のまま 句読点は見えにくいかないかは不明 なお設置時期は刻まれていないようです)


 
履歴部の拡大 (右)刻印は「R2 D511184」?とも読み取れるが・・。

この動輪がD511086のものとすれば、同機の動輪は他にも北海道岩見沢市の国道沿い・道内長万部某所・七重町大沼「ポッポ爺」の三ケ所にも存在している。おそらく第2以外のものと思われるがこちらは未確認である。1086は国鉄蒸機最終まで生き残ったカマであり、火災による保存機会を逸したものの、こうして複数の場所にその遺構が残されていることは特筆に値する。
岩見沢市の1086号の動輪(寅さん御提供)はこちら


D511086(石碑の履歴を元に修正しました)

昭和19年5月19日、日本車輌製(製造番号1274)。新製後新鶴見区に配置、24年12月に水戸ー38年10月原ノ町と常磐線沿いの機関区を移動し42年に渡道。釧路(42ー8)ー追分(42ー11)と道内の主要線区で働いた。43年2月に滝川へ移り、根室本線や函館・室蘭本線で活躍し最後は追分区(51ー3ー10)であった。もちろん「日本最後の在籍蒸気機関車」のうちの1両となり保存も内定していたが、追分区の火災により被災し解体されてしまった。

エピソード

ひとつ上の兄・1085が和歌山県の藤並駅横(現在は移設)に静態保存されているが、彼も同じような生涯をたどり、やはり北海道で最後を迎えた。廃車は51ー3ー1岩見沢一区だが、ともに室蘭本線で顔を合わせて蒸機終焉まで活躍した。


エピソード2 第2動輪複数保存?の謎

同機の動輪は他に北海道岩見沢市(第4動輪)、道内長万部某所(第2?)、七重町大沼「ポッポ爺」(第2?)の三ケ所にも保存されているが、このうち長万部某所・函館鉄道会館とこの西横浜のものが同じ「第2」動輪となっている。長万部某所のものは七飯町の「ポッポ爺」に移設された可能性はあるが確認はとれていない。この横浜市の方は設置されている「SLD51型動輪」と記された碑の履歴はほぼ1086号のものであるが(最後の「50年9月まで活躍・・」とあるのは微妙に異なる)掲載画像の刻印は「D511(1)○○」と読み取れる。「第2動輪」であることは間違いないのでもしかしたら他機のものかもしれない。1086号機の第2動輪が2組以上存在する、ということも完全には否定出来ないがこのあたりは今後の調査を待ちたい。
※岩見沢市の1086号の動輪(第4)はこちら
※七重町大沼「ポッポ爺」の1086号動輪(第2?)の画像はこちら
※もうひとつ(同じもの?)の第2動輪(長万部某所)?の画像はこちら

再訪 2014年現在の姿

相模鉄道西横浜駅隣接の「西平沼ビル」(相鉄労働組合)入口に展示
反対側より 西横浜駅のホームが見える
レフト(左)側刻印の拡大 

刻印を再確認してみると「第2」を示す「R2」「L2」ははっきりと読み取れ、この動輪が第二動輪として使われていたことはほぼ明らかである。一方車番であるがD51のあとの四桁の数字がどうみても百の位は「1」であり、ここからすでにこの動輪が「1086」号のものではないことが判明する。十の位、一の位の数字は打ち直しした形跡もみられ、何番かが判別しにくい。L側では4・3などにも見えるし、R側では3の上に4、一桁は4のようにも見える。このことからこの「D511086号の第2動輪」という説明が寄贈時にどのようにされたのかが興味深いものである。当然廃車後の保管時は1086号が履いてたものであったとしても、それ以前の他車の履き替えなどの理由も考えられる。もっともすでに同機の「第2」動輪は他所で保存されており、こうなってみると現在各地に保存されている1086号の動輪すべての刻印を再調査してみなければこの動輪の判別は難しいように思われる。

ライト(右)側刻印の拡大 

 

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