現在は「荒川線」のみが走る現在の東京都電。本格的な路線は今から約40数年前の昭和47年(1972)11月に下町中心の5路線の廃止によって消えてしまいました。架線柱や敷石などの都電の遺構ももうほとんど見られなくなってしまいましたが、かつての都電の姿を描いたものは今でも街中、あるいは「昭和レトロ」をイメージした雑誌の広告やイラスト、看板の中の絵などに発見することができます。それだけ多くの人々に都電が愛され、また交通手段としてのイメージとして今でも記憶の中に定着していることの証なのでしょう。そんな街角や本などで見かけた「都電」の姿をいくつかピックアップしてみました。
都営地下鉄大江戸線の都庁前駅構内にかつて千代田区にあって旧都庁近くを走っていた都電路線の「都庁前」電停の標示板が展示されています。
昭和46年(1971)3月17日まで王子駅前ー通三丁目を結んで走っていた19系統(駒込車庫担当)の電停標示がいくつかが沿線の商店などで保存されています。地元の都電に対する愛着が感じられるのが嬉しい路線ですね。
駒込駅に近いカメラ屋さんの店頭ショーケース内に「西ヶ原一丁目(滝野川支所前)」の電停標が飾ってありました。店主の方に許可を頂いて中に入ると「こっちにもあるよ。これは前後の電停が書いてないやつだけど…。」言われてみると、ひとつ駒込寄りの「霜降橋」のものでした。また店頭の反対側には同じく電停に取り付けられていたおなじみの始終電時刻と「自動車に注意」の案内板がありました。こちらも貴重なものです。
この電停標は「西ヶ原一丁目」のもので西ヶ原一丁目は駒込駅前から二つ目の停留所でした。私の19系統の記録はこれしかありませんが、駒込車庫の最後の頃の様子です。
西ヶ原一丁目、霜降橋の次は本郷通りを進んで東京大学のあたりまできました。ここには赤門のそば、いや向いのお蕎麦屋さんの店頭に「東大赤門前」の電停標がさりげなく置かれてありました。
最後は外堀通り近くの神田明神の門前の甘酒や麹で有名な天野屋さんのショーケースに「神田明神前」のものが…。
三ノ輪橋の少し先、南千住にある「荒川ふるさと文化館」に王子電気の200型をデザインしたスタンプがありました。これは2011年に開催された企画展にあわせて登場したものらしく、いまも設置されています。この車両はのちに東京市電(都電)の150型になったということですので、203号ということになれば153号ということになるでしょうか。
一方、豊島区の区立郷土資料館にあった珍しい都営トロリーバスのスタンプです。同区内には池袋をターミナルとして102ー104系統のバスが発着していたのでその馴染みもありました。なおこのスタンプは実寸は小型です。